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節目をつくれる人は、乱れにくい

更新日:11月18日

先日、夢から覚めて夢を叶えるタイムマネジメントグループで、大掃除の話が出ていました。


年末に近づいているのでね😊


大掃除もエアコンや換気扇、カーテンや窓、その他諸々、、掃除する場所がたくさんあります。


リストアップしてどこまで掃除するのかなど、チェックしながら少しずつ進めると、年末に慌てず掃除を完了させることができます。


そのため、タイマネグループでも毎年11月頃から大掃除の話が出るのです😊


そのお話の中でリーダーたちが「そもそも大掃除って?」という話をしていました。


私も考えを改めて整理したくなったのでシェアします。


先にお伝えしておきますが、今回の記事は後半がメインです。


ぜひ最後までお付き合いください。


大掃除

大掃除はそもそもなぜするのか?


年末は大掃除するものというイメージがありますが、実はとても大切な問いです。


一般的には、


年末に1年間の汚れを落とし、新しい年を迎える準備をするため


というのが大掃除の意味だと思います。


日本の年末の大掃除の原型は、大祓(おおはらえ)や煤払い(すすはらい)にあると思われます。


まず、年末の大祓は、一年の穢れや不浄を落とし、新しい年を迎えるための準備という意味合いがあります。


ちなみに年越しの大祓は、2つのレイヤーが重なっています。


ひとつは、伊邪那岐命の禊祓に由来する神話的な浄化の儀礼


もうひとつは、律令時代に整えられた国家的な年2回ある祓の制度


疫病、災害、人間関係の乱れなどの社会全体を整える役割がありました。


これら二つの層が重なることで、


・個人は一年の区切りとして気持ちを整え

・社会は新しいサイクルへと流れを切り替える 


という二重の働きを持つ儀礼になっています。


一方で、大掃除という日常の行動に直接つながるのは煤払い(すすはらい)です。


煤払い(すすはらい)は、江戸時代、寺社や町人の家でも、お正月に年神様をお迎えするために、家中の埃や煤を払う行事があったそうです。


これが現在の大掃除の実践的な原型といえます。


こうした宗教儀礼としての祓いと、生活習慣としての煤払いが重なり、


現代の大掃除には、"家と心を整えて新年を迎える"という意味合いが自然に残っています。


しかし、私としましては、少し違った視点も考えたいのです。


大掃除をする理由は汚れが溜まるからではなく、節目をつくるためでもあるのです。


節目の5つの役割


節目の考え方もいくつかあります。整理しました。


1『自然のリズムと同期するための節目』


二十四節気も、大掃除も、本質的には

自然の変化に合わせて生活のリズムを整える構造です。


人間の身体も心理も、リズム(周期)と同期して動くという性質があります。


リズムがない生活は、時間の境界が曖昧になり、メリハリもなく感じられ、ずーーーーっと何かが続いてるような絶望感から、疲弊と散乱につながります。


香り師的には、この終わりがないという感覚のネガティブさからも脱却をしていきますが、脱却するためにも節目という感覚は重要なセンスです。


自然のリズムとの同期、これがひとつめ。


そして終わりがないことのネガティブさからの脱却に繋がる話になるのが、次のポイントです。



2『流れていく日常に"完了"と"始まり"をつくるための節目』


人間の脳は、完了をつくらなければ、未完了(オープンループ)を抱え込み続け、疲労します。


これが人によっては、絶望に近い。そして思考も部屋も散らかり続ける。


ずっと走り続けなければならない感覚になる。しんどい。


実はこれ、物理学でいうエントロピー増大則という性質と構造がよく似ています。


エントロピー増大則とは、簡単にいうと、


放っておくと物事は散らかる、秩序は乱れ、エネルギーは拡散していく


という自然の法則です。


部屋も心も放っておくと散らかるように見えるのは、人がだらしないからではなく、物理学のエントロピー増大則と構造が似た傾向があるためです。


厳密に言えばエントロピー増大則は物理学の熱力学第二法則のものなので、ここにぴったりと当てはまるものではないのですが、


でもなぜか不思議なことに、このエントロピーに近い構造となる動きが、私たちの体や心、社会の中で常に起こり続けています。


少しだけ説明します。


物理的観点では、普遍的な補足としてエントロピー増大則 (閉じた系では秩序は崩れ、エネルギーは拡散する)


・宇宙全体の普遍的な傾向であり

・“放置すると無秩序に向かう”の典型例


生物・生化学的観点では、ネゲントロピー、自己組織化など、生命現象を説明する複数の原理がある。


・ネゲントロピー(負のエントロピー)

生命は、放っておくと散らかる世界の中で、外部から秩序(栄養・エネルギー・情報)を取り入れることで、自分を維持している。

(例:私たちが食事をすることで、身体の秩序が保たれる)


・自己組織化 / 散逸構造

一定のエネルギーが流れ込む環境では、混沌の中から自然と“秩序の形”が立ち上がることがある。

(例:水を温めると対流が生まれ、勝手に美しい渦のパターンができる)


・ホメオスタシス(恒常性保持)

身体や心は、大きく乱れないように“ちょうどいい状態”へ戻ろうとする働きを持っている。

(例:体温が上がったら汗が出て、元の温度に戻ろうとする)


※これらは物理法則と同じではないが、エントロピーと“逆向きに戦う構造”として類似


●心理学 (傾向・モデルレベル)的観点では、認知負荷 / 注意資源の有限性や心的エントロピー


・心的エントロピー

注意が散り、未完了のタスクを抱え続け、思考がまとまらなくなることで起こる心の中の散らかり。

(例:やることが多い日は部屋が散らかってなくても頭の中がざわざわする)


・認知負荷 / 注意資源の有限性

人間の集中できる容量には限りがあり、負荷が高いと心の秩序が崩れやすくなる。

(例:散らかった机だと情報が多すぎて集中しにくくなる)


・心のホメオスタシス

心は大きく揺れないように“元の状態”へ戻ろうとする働きを持つ。安心できる状態を好む傾向。

(例:変化が多い時期ほど、いつもの習慣に戻りたくなる)


※物理法則のような普遍法則ではなく、人間の行動・認知に基づく傾向


というように、


上に行くほど普遍的で科学的な法則に近く、下に行くほど生物・心理といった局所的・傾向的な概念となります。


それでも全てに共通しているのは、秩序が生まれたり失われたりする “方向性” の構造がよく似ているという点です。



話を戻しますが、節目をつくることで完了を作り、


散らかる方向へ向かう流れを一度リセットして秩序側に戻すという、とても理にかなった働きなのです。


秩序があるような振る舞いは、安心を生みます。


安心があると、行動を前へ押し進める力がまた湧いてきます。


そういった意味でも節目は不可欠です。


こうして節目を意識することは、日常の散乱をリセットし、秩序を取り戻す行為とも言えるのです。


3『大切なことを忘れる生き物だから、節目で思い出すための節目』


人間は「慣れ」が強すぎる生き物で、


・当たり前にあるもの

・日常

・感謝

・本来の目的 をすぐに忘れがちです。


節目は、“意識をリセットし、大事なことを再度前面に出す”ための強制装置のような役割です。


これは宗教でも心理学でも行動科学でも共通している考え方でもあります。


お月様の新月・満月の区切りも同じような役割があるように思います。


さらにもう少し本質的な話をするなら、こういったことも考えられます。


4『共同体のリズムに同調するための節目』


人は、個で生きているように見えて、実際は、家族・地域・社会という社会のリズムの中で、自分の時間や行動を自然に調整して生きています。


人は一人では生きられない。社会の中の一員としても生きているので、それを無視して生きてくことは難しいのです。


年末の大掃除は、まさにこの“社会全体の節目”と同調する行為のひとつです。


最近はあらゆるものが自由にはなってきたので例外ももちろんありますが、


年末の大掃除は、


・会社も止まる

・学校も締まる

・世間が年越し準備モード という、社会全体の流れと同期する行為でもあります。


この社会的な空気に自分を合わせることで、人は無意識のうちに切り替えのタイミングをつかみ、個人としての節目も作りやすくなる。


人が同じ意識体となるとき、そこにはシンクロ的なものが現れるので。


大掃除でそんなこと意識したことはないかもしれませんが、実は大切な感覚なのではないかなと思います。


ちなみに社会心理学では、人が周囲とリズムを同調させることを


“社会的同期(social synchronization)”と呼び、


この同期は以下のような効果をもたらすとされています。


・心の落ち着き

・行動の安定

・集団とのつながり感

・言語化されない安心感


これは、祭りや年中行事が持つ力と同じ働きです。


同期することでつながりを感じるってことです。


ひとりじゃない。


WE。


(WE(Self-as-We)の概念は、自己論・身体論・相互行為論・現象学・社会哲学などが重なる高度な概念なのですが、とてもとても大切な感覚だと思うので、今別で記事を作成中です。みんなにぜひ知って欲しい。)



年末の大掃除は、“共同体と自分の時間を揃える行為”という側面を持っています。


周りの世界全体が完了に向かって動き出すと、自分も自然とその流れに乗りやすくなる。


意識もそちらに向かいやすいのです。


節目とは、個人の儀式であると同時に、社会とのリズムを揃えるための、人間らしい知恵なのです。


5『節目は、未来の思考を引き出す “心理的スイッチ” になる』


人の内側の変化は目に見えません。


だから、外側の行動(掃除・片付け)を通して、内面の変化を生み出すことができます。



大掃除という行為は、


内側の整理 ⇆ 外側の整理 → 可視化


という流れになっていて、これは心理的に内面を整えていくことに、非常に効果が高いのです。



大掃除で部屋が整うと、“整った空間”という情報がそのまま脳に入ってきます。


「掃除して綺麗になったぞー」


「掃除して整った空間にいるぞー」


という情報が、あなたの意識の中に芽生えるはずです。



空間の秩序が、心理の秩序を再構成する。


無意識の再編成が起こります。



そして、人間の脳は、環境の影響を強く受けるようにできていて、


散らかった部屋は知らないうちに思考の余白を奪いますが、逆に整った空間は、認知的な負荷を下げてくれます。


すると、気持ちも前向きになりますし、新しいことに取り組んでみたり、考える余白が心に生まれます。


余白が生まれるのは気持ち的なものだけではなく、


部屋が整うことで、雑然さが減り、目に映る情報量が実際に減ることによって、


脳のワーキングメモリにも実際に余白が生まれます。


その状態ですっきりした机に向かうと、普段は出てこなかった未来のアイデアや、これからの自分の方向性が、自然と浮かび上がりやすくなります。


また長期的思考も取り戻しやすくなります。


また、“掃除して整えた”という身体的な経験そのものが、


脳のフレーミングを切り替え、


「今は切り替えのタイミングだ、ここから新しく始めてもいい」


というメッセージとしてあなたの心にプラスに作用します。


その結果、ノートを開いて未来を考えたり、静かに自分を振り返ったりする行為が自然に起こりやすくなる。


大掃除には、外側の整理を通して、


内側の未来志向を呼び起こす “心理的スイッチ” の側面があるのです。


「すっきりした机で未来を考えられる」のは、脳科学的にも筋が通っているのですよね。


そして、これらは「人は物理的な変化をきっかけに、心理的な変化を起こしやすい」という


行動科学的な文脈でも説明できる、行動変容の王道原理でもあります。


大掃除のような“外側の大きな変化”は、行動習慣や思考のリセットを自然に誘発する。


つまり


・物が動くと、心もつられて動く

・外側の節目があると、内側にも節目が生まれやすい


ということですね!



■・■・■


いろいろと書きましたが、


大掃除は単なる物理的な掃除ではなく、節目を作るための行為です。


自然や社会のリズムと同期し、内面と外面の秩序を整え、大切なことを思い出す力を持っています。


無秩序と秩序のあいだを常に揺れ動くのが、私たちの身体や心、そして日常そのもの。


放っておけば散らかるし、乱れたものが自動的に整うことはありません。


物理学のエントロピーに似た構造を意識することで、私たちは日常の散乱をリセットし、新しい一年に向けて秩序を取り戻すことができるのです。


だからこそ、小さく整える、少しだけ秩序に戻す、その繰り返しが私たちの生活や幸福の質を支えています。


それの少し大きな節目となるのが年末であり、大掃除の祓行為ですね。


整えるとは、環境を整備する行為であると同時に、自分自身の内側を静かに整えていくことでもあります。


つまり秩序をつくり直すという営みそのものが、私たちの生活をより良い方向へ運ぶ基盤になっているのだと思います😊


日々目まぐるしい中お過ごしかと思いますが、どうぞ生活を健康的なものにし、慈しみ、よりハッピーで豊かでありますように願っています。


夢から覚めて夢を叶えるタイムマネジメントグループは、単なる時間管理ではなく、人が本質的に豊かさを感じられる時間の使い方、自分自身の使い方を学べます。


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